英えい“離脱りだつ後ごもＥＵい-ゆ-市民しみんの権利けんり保障ほしょう” ＥＵい-ゆ-“不十分ふじゅうぶん”

イギリスのＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうからの離脱りだつ交渉こうしょうをめぐって、メイ首相しゅしょうはイギリスに住すむＥＵい-ゆ-市民しみんの権利けんりを離脱りだつ後ごも保障ほしょうするとした提案ていあんをＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会議かいぎで各国かっこくに説明せつめいしましたが、ＥＵい-ゆ-側がわからは「不十分ふじゅうぶんだ」とする意見いけんも出でており、今後こんご、厳きびしい交渉こうしょうとなることが予想よそうされます。

ベルギーのブリュッセルで２に３さん日にちにかけて行おこなわれたＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会議かいぎで、イギリスのメイ首相しゅしょうはＥＵい-ゆ-からの離脱りだつに向むけたイギリス政府せいふの方針ほうしんを説明せつめいしました。

この中なかでメイ首相しゅしょうはＥＵい-ゆ-側がわが交渉こうしょうの最さい優先ゆうせん課題かだいの１ひとつとするイギリスに住すむＥＵい-ゆ-市民しみんの権利けんりについて、５ご年ねん以上いじょう住すんでいれば離脱りだつ後ごもイギリス人じんと同等どうとうの権利けんりが保障ほしょうされ、公的こうてきサービスも受うけられることをなどを提案ていあんしました。

これについて、加盟かめい国こくからは「よい一いち歩ほだ」とする声こえが聞きかれた一方いっぽう、不十分ふじゅうぶんだという声こえも上あがっています。

このうちＥＵい-ゆ-のトゥスク大統領だいとうりょうは２に３さん日にちの記者きしゃ会見かいけんで「期待きたいを下回したまわっており、市民しみんの状況じょうきょうが悪化あっかするおそれがあるという印象いんしょうだ」と述のべ、厳きびしい見方みかたを示しめしました。
またドイツのメルケル首相しゅしょうも「よいスタートだが突破とっぱ口ぐちにはならない」と述のべ、懸念けねんを払拭ふっしょく（ふっしょく）するには不十分ふじゅうぶんだとの認識にんしきを示しめしました。

背景はいけいには権利けんりを巡めぐって法的ほうてきな判断はんだんが必要ひつようになった場合ばあい、イギリスの裁判所さいばんしょとＥＵい-ゆ-の裁判所さいばんしょのどちらで判断はんだんするのかなどの点てんが明あきらかになっていないことがあるものと見みられます。

イギリスとＥＵい-ゆ-の離脱りだつ交渉こうしょうは今月こんげつ１いち９きゅう日にちに始はじまったばかりですが、早はやくも立場たちばの違ちがいが表面ひょうめん化かした形かたちで、今後こんご、厳きびしい交渉こうしょうになることが予想よそうされます。

メイ首相しゅしょう「公平こうへいで真面目まじめな提案ていあん」

イギリスのメイ首相しゅしょうはイギリスに暮くらすＥＵい-ゆ-市民しみんの権利けんりの保障ほしょうをめぐってメイ首相しゅしょうが行おこなった提案ていあんに対にたいしてＥＵい-ゆ-側がわから不満ふまんの声こえが出でていることについて、首脳しゅのう会議かいぎ後ごの記者きしゃ会見かいけんで「提案ていあんは公平こうへいで真面目まじめなものだ」と強調きょうちょうしたうえで「立場たちばによって考え方かんがえかたに違ちがいがある」と述のべ、早はやくも意見いけんの隔へだたりが出でていることを認みとめました。

メイ首相しゅしょうはＥＵい-ゆ-市民しみんの権利けんりに関にかんする争あらそいが起おきた場合ばあいにヨーロッパとイギリスの裁判所さいばんしょのどちらが管轄かんかつするのか問とわれると「今後こんごの交渉こうしょうの中なかで話し合はなしあうことになる」としながらも、「私わたしの立場たちばからすれば市民しみんの権利けんりはイギリスの法律ほうりつによって守まもられるべきものだ」と述のべ、今後こんごの交渉こうしょうでみずからの主張しゅちょうを貫つらぬきたい思惑おもわくも伺うかがわせました。

メイ首相しゅしょう 国内こくない外がいで厳きびしい立場たちばに

ＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうとの離脱りだつ交渉こうしょうが始はじまる中なか、メイ首相しゅしょうは厳きびしい立場たちばに立たたされています。

最大さいだいの要因よういんは今月こんげつ８はち日にちに行おこなわれた総そう選挙せんきょです。
メイ首相しゅしょうはことし４月しがつ、離脱りだつ交渉こうしょうを前まえに議会ぎかいの基盤きばんを強化きょうかしようと総そう選挙せんきょを前倒まえだおしする意向いこうを明あきらかにしました。
高たかい支持しじ率りつを背景はいけいに与党よとう・保守党ほしゅとうの圧勝あっしょうを見込みこんで行いった総そう選挙せんきょでしたが、保守党ほしゅとうは議席ぎせきを減へらして過か半数はんすうを維持いじできず、メイ首相しゅしょうの求心力きゅうしんりょくは一気いっきに低下ていかしました。

選挙せんきょ後ご、少数しょうすう与党よとうによる政権せいけんとなったメイ政権せいけんは北アイルランドきたあいるらんどの地域ちいき政党せいとうと閣外かくがい協力きょうりょくに向むけた協議きょうぎを進すすめていますが、いまだ合意ごういに至いたっていません。
さらに総そう選挙せんきょの結果けっかはメイ首相しゅしょうが示しめした「ハード・ブレグジット」の方針ほうしんを拒否きょひするものだという受け止うけとめが広ひろがっていて、ハモンド財務ざいむ相しょうが「交渉こうしょうでは経済けいざいを優先ゆうせんすべきだ」と述のべてメイ首相しゅしょうの方針ほうしんに反はんする発言はつげんをするなど離脱りだつ交渉こうしょうに大おおきな影響えいきょうを与あたえる可能かのう性せいも出でています。

一方いっぽう、イギリスでは３さんか月かげつ間かんでイスラム過激かげき派はに影響えいきょうを受うけたテロが３さん件けん相次あいつぎ、今月こんげつ１いち９きゅう日にちにはイスラム教徒きょうとを狙ねらったと見みられるテロも発生はっせい。社会しゃかいの分断ぶんだんが懸念けねんされています。

さらに今月こんげつ１いち４よん日にち発生はっせいした低てい所得しょとく者しゃ向むけの高層こうそう住宅じゅうたくの火災かさいでは公営こうえい住宅じゅうたくの防火ぼうか対策たいさくの不備ふびが明あきらかになり、国民こくみんの間まで格差かくさへの不満ふまんが高たかまっています。

イギリスが政治せいじ的てきにも社会しゃかい的てきにも不安定ふあんていさを増ます中なか、メイ首相しゅしょうは国内こくないの対応たいおうに追おわれながら、ＥＵい-ゆ-との厳きびしい交渉こうしょうを進すすめなければない状況じょうきょうに追い込おいこまれています。

独どく仏ふつが共同きょうどう会見かいけん ＥＵい-ゆ-けん引けんいんに意欲いよく

ＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会議かいぎの終了しゅうりょう後ご、ドイツのメルケル首相しゅしょうとフランスのマクロン大統領だいとうりょうは共同きょうどう記者きしゃ会見かいけんを行おこないました。

会見かいけんで両りょう首脳しゅのうは保護ほご主義しゅぎ的てきな動うごきが世界せかいで強つよまる中なかでの自由じゆう貿易ぼうえきの推進すいしんや、難民なんみんの受け入うけいれの重要じゅうよう性せいに言及げんきゅうし、両国りょうこくが積極せっきょく的てきに連携れんけいしていくと強調きょうちょうしました。

そのうえでマクロン大統領だいとうりょうは「両国りょうこくの緊密きんみつな関係かんけいはヨーロッパが発展はってんしていくために不可欠ふかけつな条件じょうけんだ。フランスとドイツの同意どういがなければ、ヨーロッパは発展はってんしない」と述のべ、イギリスとの離脱りだつ交渉こうしょうが始はじまる中なか、今後こんごのＥＵい-ゆ-を両国りょうこくがけん引けんいんしていくことに強つよい意欲いよくを示しめしました。

ＥＵい-ゆ-首脳しゅのう会議かいぎの終了しゅうりょう後ごには加盟かめい国こくの多おおくがそれぞれ記者きしゃ会見かいけんを行おこない、会議かいぎでの決定けってい事項じこうや自国じこくの立場たちばなどについて説明せつめいしますが、加盟かめい国こくが共同きょうどうで行おこなうのは極きわめて異例いれいです。

ＥＵい-ゆ- 厳きびしい姿勢しせいで交渉こうしょうに臨のぞむ

ＥＵい-ゆ-はイギリスとの離脱りだつ交渉こうしょうに厳きびしい姿勢しせいで臨のぞんでいます。
１いち９きゅう日にちに行おこなわれた初はじめての交渉こうしょうでは市民しみんの権利けんりの扱あつかいや、イギリスが支払しはらいを約束やくそくしていたＥＵい-ゆ-への巨額きょがくの分担ぶんたん金きんをめぐる協議きょうぎを優先ゆうせんし、十分じゅうぶんな進展しんてんがなければ離脱りだつ後ごの双方そうほうの通商つうしょう関係かんけいをめぐる協議きょうぎは行おこなわないと強つよく主張しゅちょうして、イギリス側がわの譲歩じょうほを引き出ひきだしました。

こうした厳きびしい姿勢しせいの背景はいけいにはイギリスに譲歩じょうほする姿勢しせいを見みせれば加盟かめい国こくの中なかのＥＵい-ゆ-懐疑かいぎ派はを勢いきおいづかせるほか、ＥＵい-ゆ-のさまざまなルールや取り決とりきめの制約せいやくを受うけている各国かっこくからの反発はんぱつを招まねきかねないという事情じじょうがあります。

仮かりにイギリスがＥＵい-ゆ-からの移民いみんの受け入うけいれを制限せいげんしたうえで、ＥＵい-ゆ-の単一たんいつ市場しじょうの恩恵おんけいをいままでどおり受うけるなどといった有利ゆうりな条件じょうけんをＥＵい-ゆ-側がわから引き出ひきだした場合ばあい、移民いみんや難民なんみんの受け入うけいれなど取り決とりきめにしたがっている国くにから反発はんぱつが出でることも予想よそうされます。

このためＥＵい-ゆ-側がわは交渉こうしょう責任せきにん者しゃのバルニエ首席しゅせき交渉こうしょう官かんが「離脱りだつするのはイギリスであってＥＵい-ゆ-ではない」と述のべるなど譲歩じょうほはしない構かまえで、今後こんごも離脱りだつ交渉こうしょうに厳きびしい姿勢しせいで臨のぞむことでＥＵい-ゆ-に懐疑かいぎ的てきな勢力せいりょくを封じ込ふうじこめ、求心力きゅうしんりょくを取り戻とりもどしたい考かんがえです。

ＥＵい-ゆ- 市民しみんの不満ふまんにどう応こたえるか

ＥＵい-ゆ-加盟かめい国こくではここ数すう年ねん、ＥＵい-ゆ-に懐疑かいぎ的てきな勢力せいりょくが台頭たいとうしていて、ことし主要しゅよう国こくで相次あいついで行おこなわれる国政こくせい選挙せんきょではこうした勢力せいりょくが政権せいけんを取とったり大おおきく躍進やくしんしたりするのかが注目ちゅうもくされてきました。

このうちことし３月さんがつ、オランダで行おこなわれた下院かいん議会ぎかい選挙せんきょでは移民いみんの排斥はいせきやＥＵい-ゆ-からの離脱りだつを掲かかげたウィルダース党首とうしゅ率ひきいる極右きょくう政党せいとう・自由党じゆうとうが第だい１いち党とうの座ざは逃のがしたものの議席ぎせきを伸のばしました。

また、ことし４月しがつに行おこなわれたフランスの大統領だいとうりょう選挙せんきょでは移民いみんの制限せいげんやＥＵい-ゆ-からの離脱りだつを問とう国民こくみん投票とうひょうの実施じっしを掲かかげた極右きょくう政党せいとう・国民こくみん戦線せんせんのルペン党首とうしゅが決選けっせん投票とうひょうに残のこりました。先月せんげつの決選けっせん投票とうひょうでルペン候補こうほはマクロン大統領だいとうりょうに敗やぶれたものの、投票とうひょう総数そうすうのおよそ３さん分ぶんの１いちの票ひょうを獲得かくとくし、ＥＵい-ゆ-に懐疑かいぎ的てきな意見いけんへの支持しじが根強ねづよいことを印象いんしょうづけました。
一方いっぽう、今月こんげつフランスで行おこなわれた国民こくみん議会ぎかい選挙せんきょでは国民こくみん戦線せんせんが獲得かくとくした議席ぎせきは全ぜん５ご７なな７なな議席ぎせきのうち８はち議席ぎせきにとどまりましたが、依然いぜんとして一定いっていの支持しじを得えています。

これらの選挙せんきょではＥＵい-ゆ-に懐疑かいぎ的てきな勢力せいりょくがいずれも当初とうしょ予想よそうされたほどの大おおきな支持しじは得えられませんでしたが、今後こんご選挙せんきょで示しめされた市民しみんの不満ふまんにＥＵい-ゆ-がどう応こたえるのかが注目ちゅうもくされます。

ソース：NHK ニュース