Hiện Furigana
「買い物弱者」支援の移動販売や宅配事業者 4割超が経営難
2017-07-12 19:09:16

自宅近くにスーパーなどがなく買い物に困っている、いわゆる「買い物弱者」のお年寄りなどに向けて、移動販売や宅配を行う全国の事業者を総務省が調べたところ、40%余りが赤字経営で、事業を断念する業者も相次いでいることがわかりました。
経済産業省によりますと、「買い物弱者」は全国で700万人余りに上ると推計され、国や都道府県などは10年ほど前から、山あいの集落などで暮らすお年寄りを対象にした移動販売など、支援に取り組む事業者に補助金を出す対策を進めてきました。
しかし、総務省行政評価局が去年、全国の移動販売や宅配などの事業者260余りを抽出して調査した結果、およそ42%が赤字経営で、事業を断念した業者もおよそ12%だったことがわかりました。
さらに事業を断念した理由を調べたところ、自治体の財政事情が厳しい中で期間限定の補助金が多く、打ち切られたあと人件費などをまかなえなくなったケースや、人口減少が想定以上に急速に進み採算が合わなくなったケースが多かったということです。
この結果を受けて総務省は、経済産業省などに対し支援の在り方を見直すよう来週にも通知する方針を固めました。
しかし、総務省行政評価局が去年、全国の移動販売や宅配などの事業者260余りを抽出して調査した結果、およそ42%が赤字経営で、事業を断念した業者もおよそ12%だったことがわかりました。
さらに事業を断念した理由を調べたところ、自治体の財政事情が厳しい中で期間限定の補助金が多く、打ち切られたあと人件費などをまかなえなくなったケースや、人口減少が想定以上に急速に進み採算が合わなくなったケースが多かったということです。
この結果を受けて総務省は、経済産業省などに対し支援の在り方を見直すよう来週にも通知する方針を固めました。
事業者は…
今回の総務省の調査で対象の1つとなった滋賀県長浜市余呉町は、人口3000人余りで、高齢化率は35%に達し、国から過疎地域に指定されています。
人口減少が進み店舗が次々と閉店する中、地元の一般財団法人が4年前から買い物弱者などに向けた移動販売を実施してきました。
財団では集落が山あいの広範囲に点在し、住民も少ないことから、人件費や車の維持費を賄う収益をあげることは簡単ではないと考えていましたが、買い物が困難な高齢者からの強い要望で国の補助金を活用して事業を始めました。
経済産業省から開業資金として250万円余りの補助金を受給し運営を始めましたが、その後も、人口流出に歯止めがかからず想定以上に顧客が減少したほか、運営のための経費に充てる補助金がほとんど得られなかったことから毎年、数十万円の赤字が続いたということです。
売り上げの改善も見込めず財団は昨年度で解散しました。
今年度からは、自治会などが中心となったまちづくり団体が市の支援を受けて事業を引き継ぎましたが、運営は厳しいということです。
事業を引き継いだ余呉地域づくり協議会の白石香織さんは「この地域をついの住みかとして選び、暮らしている高齢者を見捨てることはできない。国や自治体は住民の生活を守る支援策を一緒に考えてほしい」と話しています。
人口減少が進み店舗が次々と閉店する中、地元の一般財団法人が4年前から買い物弱者などに向けた移動販売を実施してきました。
財団では集落が山あいの広範囲に点在し、住民も少ないことから、人件費や車の維持費を賄う収益をあげることは簡単ではないと考えていましたが、買い物が困難な高齢者からの強い要望で国の補助金を活用して事業を始めました。
経済産業省から開業資金として250万円余りの補助金を受給し運営を始めましたが、その後も、人口流出に歯止めがかからず想定以上に顧客が減少したほか、運営のための経費に充てる補助金がほとんど得られなかったことから毎年、数十万円の赤字が続いたということです。
売り上げの改善も見込めず財団は昨年度で解散しました。
今年度からは、自治会などが中心となったまちづくり団体が市の支援を受けて事業を引き継ぎましたが、運営は厳しいということです。
事業を引き継いだ余呉地域づくり協議会の白石香織さんは「この地域をついの住みかとして選び、暮らしている高齢者を見捨てることはできない。国や自治体は住民の生活を守る支援策を一緒に考えてほしい」と話しています。
高齢者は…
滋賀県長浜市余呉町の菅並地区で1人暮らしをしている80代の女性は「市中心部のスーパーに行くためには、バスで往復1200円の運賃がかかり、日常の買い物をするには大きな負担です。車の運転ができず足腰も弱いため、重い荷物は持てません。自宅近くまで訪問してもらえる移動販売が存続してもらわないと、食べるものも満足に確保できず本当に困ってしまいます」と話していました。
また、摺墨地区で暮らす70代の男性は「ここは豪雪地帯で、冬になると車を出すこともできないので移動販売が住民の食生活を支えています。いつも夕飯の食材や晩酌のつまみの刺身などを購入することを楽しみにしています。私たちにとって命の綱のようなもので、息長く、この事業を続けてほしいです」と話していました。
また、摺墨地区で暮らす70代の男性は「ここは豪雪地帯で、冬になると車を出すこともできないので移動販売が住民の食生活を支えています。いつも夕飯の食材や晩酌のつまみの刺身などを購入することを楽しみにしています。私たちにとって命の綱のようなもので、息長く、この事業を続けてほしいです」と話していました。
専門家は…
物流が専門で買い物弱者対策に詳しい日本大学商学部の秋川卓也専任講師は「過疎地は配送に時間がかかるにもかかわらず、消費量は少ないので、買い物弱者対策の事業者が収益をあげることは非常に難しい。また、国や自治体の支援策は開業資金に充てる補助金が中心で、支給期間も単年度が多く事業を継続的に支援する仕組みがない」と指摘しています。
そのうえで「住民の危機感に比べて、国や自治体の意識が低いのが現状で、地域が消滅するかもしれないという根本的な現実に目を向けなければいけない。地域の実態を把握したうえで、継続した財政的支援が必要ではないか」と話しています。
ただ自治体の財政事情が厳しい中、事業者に対し永久的に支援を続けることは現実的ではないとして、「将来的にはドローンや自動運転の車などを活用した輸送システムなど、イノベーションによる対策を具体化するなど、新たな取り組みを早急に進める必要がある」と述べています。
そのうえで「住民の危機感に比べて、国や自治体の意識が低いのが現状で、地域が消滅するかもしれないという根本的な現実に目を向けなければいけない。地域の実態を把握したうえで、継続した財政的支援が必要ではないか」と話しています。
ただ自治体の財政事情が厳しい中、事業者に対し永久的に支援を続けることは現実的ではないとして、「将来的にはドローンや自動運転の車などを活用した輸送システムなど、イノベーションによる対策を具体化するなど、新たな取り組みを早急に進める必要がある」と述べています。
ソース:NHK ニュース