１いち０ぜろ０ぜろ歳さいすぎても現役げんえき医師いし 日野ひの原はら重明しげあきさん死去しきょ

１いち０ぜろ０ぜろ歳さいをすぎても現役げんえきの医師いしを続つづけ、高齢こうれい者しゃが活躍かつやくできる社会しゃかいの在り方ありかたなどについて提言ていげんを続つづけた文化ぶんか勲章くんしょう受章じゅしょう者しゃの日ひ野原のはら重明しげあきさんが１いち８はち日にち朝あさ、呼吸こきゅう不全ふぜんのため亡なくなりました。１いち０ぜろ５ご歳さいでした。

日野ひの原げんさんは明治めいじ４よん４よん年ねんに山口やまぐち市しで生うまれ、当時とうじの京都きょうと帝国ていこく大学だいがくで医学いがくを学まなんで昭和しょうわ１いち６ろく年ねんに東京とうきょうの聖ひじり路ろ加か国際こくさい病院びょういんで内科ないか医いとして働はたらき始はじめました。
診療しんりょうのかたわら、病院びょういん関係かんけい者しゃの力ちからを総合そうごうした「チーム医療いりょう」の重要じゅうよう性せいを主張しゅちょうして看護かんご師しの教育きょういくに力ちからを注そそいだほか、昭和しょうわ２に９きゅう年ねんには民間みんかんの病院びょういんでははじめて人間ドックにんげんどっくを導入どうにゅうし、生活せいかつ習慣しゅうかんを改善かいぜんして病気びょうきを予防よぼうするという考え方かんがえかたを普及ふきゅうさせました。

日野ひの原げんさんは聖ひじり路ろ加か国際こくさい病院びょういんの院長いんちょうや理事りじ長ちょう、国際こくさい内科ないか学会がっかいや国際こくさい健けん診み学会がっかいの会長かいちょうなどを務つとめました。
また昭和しょうわ４よん５ご年ねんのよど号ごうハイジャック事件じけんに巻き込まきこまれ、４よん日間にちかん、人質ひとじちとして拘束こうそくされました。
平成へいせい７なな年ねんに起おきた地下鉄ちかてつサリン事件じけんでは聖ひじり路ろ加か国際こくさい病院びょういんの院長いんちょうとしてみずから陣頭じんとう指揮しきをとり、事件じけんの当日とうじつだけで病院びょういんに運び込はこびこまれた６ろく４よん０ぜろ人にんの被害ひがい者しゃの治療ちりょうに当あたりました。
さらに生なまと死しをテーマにした執筆しっぴつや講演こうえんを続つづけて高齢こうれい者しゃが活躍かつやくできる社会しゃかいの在り方ありかたなどについて積極せっきょく的てきに提言ていげんし、平成へいせい１いち３さん年ねんに出版しゅっぱんした「生いきかた上手じょうず」がミリオンセラーとなりました。

また、音楽おんがく劇げきに出演しゅつえんしたり全国ぜんこくの小学校しょうがっこうを回まわったりする活動かつどうを続つづけ、テレビ番組ばんぐみにも数多かずおおく出演しゅつえんして人間にんげん味みあふれる語り口かたりくちで親したしまれました。
平成へいせい１いち５ご年ねんに放送ほうそう文化ぶんか賞しょうを受賞じゅしょうしたほか、平成へいせい１いち７なな年ねんには文化ぶんか勲章くんしょうを受章じゅしょうしています。
さらに９きゅう０ぜろ歳さいを前まえに出会であったアメリカの絵本えほんをもとに、命いのちの尊とうとさを伝つたえるミュージカル「葉はっぱのフレディ」の脚本きゃくほんの原案げんあんを手てがけるなど、生涯しょうがい現役げんえきの医師いしを貫つらぬきながら活動かつどうの幅はばを広ひろげていました。

関係かんけい者しゃによりますと、日野ひの原げんさんは体調たいちょうを崩くずして自宅じたくで静養せいようを続つづけていましたが、１いち８はち日にち朝あさ６ろく時半じはんすぎ呼吸こきゅう不全ふぜんのため亡なくなりました。
日野ひの原げんさんの告別こくべつ式しきは病院びょういん葬そうとして今月こんげつ２に９きゅう日にち都内とないの葬儀そうぎ場じょうで行おこなわれます。

「延命えんめい望のぞまず」家族かぞく語かたる最期さいごの日々ひび

日野ひの原はら重明しげあきさんの次男じなんの直明なおあきさん（６ろく９きゅう）は「ことしの３月さんがつに検査けんさで入院にゅういんした際さいに肺炎はいえんが見みつかりましたが、本人ほんにんの希望きぼうで自宅じたくで療養りょうようしていました。しばらくはトーストや目玉焼めだまやきなどを食たべていましたが、１いち０ぜろ日にちほど前まえからは流動りゅうどう食しょくになりました。おとといまでは呼よびかけに返事へんじがありましたが、きのうからはかすかにうなずくくらいで反応はんのうが鈍にぶくなり、きょう明け方あけがた、静しずかに眠ねむるように息いきを引き取ひきとりました。延命えんめい措置そちは本人ほんにんが望のぞんでおらず、全まったく行おこないませんでした」と話はなしました。

自宅じたく療養りょうよう中ちゅうの日野ひの原げんさんの様子ようすについては「ことしの１０月じゅうがつ４よん日にちの１いち０ぜろ６ろく歳さいの誕生たんじょう日びをずっと楽たのしみにしていました。数すうか月かげつ前まえまでは『自分じぶんは東京とうきょうオリンピックまで生いきるんだ』と言いっていました」と話はなしました。
また日野ひの原げんさんの人生じんせいを振り返ふりかえり「よど号ごうのハイジャック事件じけんを経験けいけんしてからは、残のこされた命いのちを社会しゃかいのために使つかうという使命しめい感かんを持もって生いきていて私わたしも影響えいきょうを受うけました。そういう生き方いきかたをしていたので、やり残のこしたことはなかったのではないかと思おもいます」と話はなしていました。
そのうえで「父ちちは自宅じたく療養りょうようの間ま、私わたしたち家族かぞくや知人ちじんらに『お世話おせわになった。ありがとう』と感謝かんしゃの言葉ことばを述のべていました。患者かんじゃや本ほんの読者どくしゃの方々かたがたにも同おなじような思おもいだったのではないでしょうか」と話はなしていました。

聖ひじり路ろ加か国際こくさい病院びょういん院長いんちょう「悲かなしみと喪失そうしつ感かんは言い表いいあらわせない」

日野ひの原はら重明しげあきさんが名誉めいよ院長いんちょうを務つとめる聖きよし路ろ加か国際こくさい病院びょういんの福井ふくい次じ矢や院長いんちょうは「日にち野原のはら先生せんせいは長年ながねんにわたりわが国わがくにの医療いりょうの向上こうじょうに多大ただいな貢献こうけんをされ、同時どうじに国民こくみんの健康けんこう増進ぞうしんや生き方いきかたについての提言ていげんなど幅広はばひろい功績こうせきを残のこされました。われわれにとっても日野ひの原げん先生せんせいを失うしなった悲かなしみと喪失そうしつ感かんはどんな言葉ことばでも言い表いいあらわすことができません。魂たましいの平穏へいおんを謹つつしんでお祈おいのり申し上もうしあげます」とコメントを発表はっぴょうしました。

官房かんぼう長官ちょうかん「現代げんだいの日本にっぽん医療いりょうの礎いしずえを築き上きずきあげた一いち人にん」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「日野ひの原げん氏しは早はやくから予防よぼう医学いがくの重要じゅうよう性せいに着目ちゃくもくし、現在げんざい国民こくみんに定着ていちゃくしている『生活せいかつ習慣しゅうかん病びょう』という言葉ことばを提唱ていしょうするなど、まさに現代げんだいの日本にっぽん医療いりょうの礎いしずえを築き上きずきあげてきた一いち人にんであると考かんがえている」と述のべました。
そのうえで菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは「地下鉄ちかてつサリン事件じけんの際さいには、聖きよし路ろ加か国際こくさい病院びょういんの院長いんちょうとして、事件じけん後ごに直ただちに被害ひがい者しゃの無む制限せいげん受け入うけいれを実施じっしし、被害ひがい者しゃ治療ちりょうの拠点きょてんとして事件じけんの被害ひがい拡大かくだい防止ぼうしに大おおきな貢献こうけんをされるなどすばらしい偉大いだいな功績こうせきをあげた。１いち０ぜろ０ぜろ歳さいを超こえてもなお生涯しょうがい現役げんえきとして医学いがく界かいの発展はってんに尽つくされた日野ひの原げん氏しに対にたいして、心こころから敬意けいいと感謝かんしゃを表ひょうするとともにご冥福めいふくをお祈おいのり申し上もうしあげたい」と述のべました。

ソース：NHK ニュース