「１いち１いちぴきのねこ」馬場ばばのぼるさんの創作そうさく資料しりょう見みつかる

絵本えほん「１いち１いちぴきのねこ」シリーズで知しられる漫画まんが家かで、平成へいせい１いち３さん年ねんに亡なくなった馬場ばばのぼるさんが生前せいぜんに描えがいたスケッチやアイデアなどを記しるしたノートが、大量たいりょうに残のこされていることがわかりました。物語ものがたりの要素ようそになることがらを詳細しょうさいに調しらべていたことがうかがえ、当時とうじの担当たんとう編集へんしゅう者しゃは「馬場ばばさんの絵えが膨大ぼうだいな情報じょうほうと知識ちしきに基もとづいて描えがかれていることがわかる貴重きちょうな資料しりょうだ」としています。

馬場ばばのぼるさんは昭和しょうわ２に５ご年ねんに本格ほんかく的てきに漫画まんが家かとしてデビューし、１いち１いち匹ひきの猫ねこが繰り広くりひろげるさまざまな冒険ぼうけんを描えがいた絵本えほん「１いち１いちぴきのねこ」シリーズは、累計るいけいで４よん２に０ぜろ万まん部ぶを超こえるベストセラーとなっています。

馬場ばばさんは平成へいせい１いち３さん年ねんに７なな３さん歳さいで亡なくなり、その後そのご、資料しりょう整理せいりのために馬場ばばさんの自宅じたくを訪おとずれた当時とうじの担当たんとう編集へんしゅう者しゃが、膨大ぼうだいな量りょうのスケッチや作品さくひんのアイデアなどを記しるしたノートを見みつけたということです。スケッチの一部いちぶは先月せんげつ発売はつばいされた本ほんのなかで紹介しょうかいされていますが、資料しりょうの大半たいはんは公開こうかいされず出版しゅっぱん社しゃに保管ほかんされたままになっています。

このうち「１いち１いちぴきのねことあほうどり」について描えがかれたノートには、絵本えほんの構想こうそうやアホウドリのイラストとともに、くちばしや羽はねの長ながさが何なんセンチあるかなどが記しるされています。

また、縄文じょうもん時代じだいから現代げんだいに至いたるまでのヒトの顔かおの形かたちや身長しんちょうの変化へんか、それに時代じだいごとの人々ひとびとの暮くらしに関にかんするメモなど、漫画まんがを描えがく際さいに必要ひつようとなる知識ちしきやアイデアが書かかれたノートも数多かずおおく残のこされていました。

当時とうじの担当たんとう編集へんしゅう者しゃのこぐま社しゃの関谷せきや裕子ゆうこ編集へんしゅう長ちょうは「馬場ばばさんの絵えが実じつは、膨大ぼうだいな情報じょうほうと知識ちしきに基もとづいて描えがかれていることが資料しりょうを見みてわかった。馬場ばばさんの創作そうさくを知しるうえでとても貴重きちょうな発見はっけんだと考かんがえています」と話はなしています。

猫ねこについて調しらべ上あげたメモも

絵本えほん「１いち１いちぴきのねこ」を描えがいた馬場ばばさんは、猫ねこのスケッチや猫ねこに関にかんする考察こうさつも大量たいりょうに残のこしていました。

このうち、猫ねこのスケッチは、自宅じたくの近ちかくに来くる猫ねこを描えがいたもので「しっぽだけ縞しま模様もよう」といった特徴とくちょうとともに、猫ねこの愛あいらしい姿すがたが描えがかれています。

また、「ねこ」と題だいされたメモには数すうページにわたって猫ねこの歴史れきしなどが記しるされ、猫ねこのイラストとともに、「洋ようネコは１いち４よん世紀せいきにエジプトからヨーロッパに渡来とらい。珍重ちんちょうされた」「文献ぶんけんにあらわれるのは宇多うた天皇てんのうの御代みよ」「平安へいあん時代じだい、日本にっぽんのネコはうす黒くろいトラネコ（キジネコ）が多おおかった」などの記述きじゅつがあり、作品さくひんづくりの参考さんこうにしていたことがうかがえます。

自身じしんの年表ねんぴょうには特攻隊とっこうたいの記録きろくも

見みつかった資料しりょうの中なかには、馬場ばばさんがノートにまとめた自身じしんの年表ねんぴょうもあり、戦時せんじ中ちゅうの様子ようすなどが詳細しょうさいに記録きろくされています。

それによりますと、昭和しょうわ２に年ねん生うまれの馬場ばばさんは、岩手いわて県けんの中学校ちゅうがっこうを卒業そつぎょうしたあと、昭和しょうわ１いち９きゅう年ねんに海軍かいぐん飛行ひこう予科練よかれん生せいとして航空こうくう隊たいに入隊にゅうたいしました。昭和しょうわ２に０ぜろ年ねんに特別とくべつ攻撃こうげき隊たいの訓練くんれんを受うけるために茨城いばらき県けんの土浦つちうら海軍かいぐん航空こうくう隊たいに入隊にゅうたいすることになりましたが、土浦つちうらが空襲くうしゅうを受うけたため、別べつの部隊ぶたいに移うつることになったということです。馬場ばばさんは特攻隊とっこうたい員いんとして出撃しゅつげきすることなく、１いち８はち歳さいで終戦しゅうせんを迎むかえました。

年表ねんぴょうは平成へいせい元年がんねんまでは毎年まいとしの分ぶんが残のこされ、親友しんゆうだった漫画まんが家かの手塚てづか治虫おさむさんとの交友こうゆうの様子ようすがたびたび書かかれているほか、自分じぶんの作品さくひんがいつ、どの雑誌ざっしに掲載けいさいされたかも事細ことこまかに記しるされています。

こぐま社しゃの関谷せきや裕子ゆうこ編集へんしゅう長ちょうは「馬場ばばさんがこんなにきっちりとメモや記録きろくを残のこしていることにとてもびっくりしました。また、戦時せんじ中ちゅうの記録きろくを見みて、馬場ばばさんが特攻隊とっこうたい員いんとして赴任ふにんするタイミングが少すこしでも違ちがえば、今いまある作品さくひんたちは存在そんざいしていなかったことになり、戦争せんそうというものはすべてを破壊はかいしてしまうんだということを改あらためて感かんじました」と話はなしていました。

所在しょざい不明ふめいだった原画げんがも発見はっけん

今回こんかい見みつかった資料しりょうの中なかには、馬場ばばさんが出身しゅっしん地ちの青森あおもり県けんから依頼いらいされて描えがいたものの、その後そのご、所在しょざいが確認かくにんできていなかった絵えの原画げんがもありました。

この絵えは馬場ばばさんが平成へいせい１いち０ぜろ年ねんに描えがいたもので、青森あおもり市しにある三さん内ない丸山まるやま遺跡いせきを会場かいじょうに、県けんの特産とくさん品ひんや伝統でんとう行事ぎょうじが所ところ狭せましと描えがかれていて、リンゴやイカを販売はんばいしている人ひとや縄文じょうもん土器どきを作つくっている人ひと、ねぶた祭さいの様子ようすなどが描えがかれています。

青森あおもり県立けんりつ美術館びじゅつかんなどによりますと、この絵えは完成かんせいしたあと、県けんが作成さくせいしたパンフレットに掲載けいさいされたほか、パネルにして三さん戸こ町立ちょうりつ図書館としょかんに展示てんじされているということですが、関係かんけい者しゃの間までは原画げんががどこにあるか確認かくにんできていなかったということです。

ソース：NHK ニュース