新種しんしゅのオランウータン インドネシアのスマトラ島すまとらとうで発見はっけん

インドネシアのスマトラ島すまとらとうで新種しんしゅのオランウータンが見みつかったとイギリスなどの国際こくさい研究けんきゅうグループが発表はっぴょうしました。ヒトに近ちかい大型おおがたの霊長れいちょう類るいで新種しんしゅが見みつかるのはおよそ９きゅう０ぜろ年ねんぶりです。

新種しんしゅのオランウータンが見みつかったのは、インドネシアのスマトラ島すまとらとう北部ほくぶの森林しんりんです。

イギリスやスイス、インドネシアなどの研究けんきゅうグループによりますと、「タパヌリオランウータン」と名付なづけられた新種しんしゅのオランウータンは、島内とうないの別べつの場所ばしょに生息せいそくするオランウータンよりも頭蓋骨ずがいこつが小ちいさく、体毛たいもうがより黄色きいろがかった茶色ちゃいろをしているほか、遺伝子いでんしの配列はいれつが異ことなっていて新種しんしゅと断定だんていされたということです。

また、その生息せいそく数すうは、森林しんりんの伐採ばっさいが進すすむなど環境かんきょう破壊はかいによって推定すいてい８はち０ぜろ０ぜろ頭とう以下いかに減へっていると見みられ、研究けんきゅうグループは保護ほご対策たいさくを行おこなうよう求もとめています。

ゴリラやチンパンジーなどヒトに近ちかい大型おおがたの霊長れいちょう類るいで新種しんしゅが見みつかるのはおよそ９きゅう０ぜろ年ねんぶりで、霊長れいちょう類るいに詳くわしい京都きょうと大学だいがくの山やま極ごく壽ことぶき一いち学長がくちょうは「オランウータンで新種しんしゅが見みつかるのは驚おどろきで、人間にんげんの起源きげんを知しるうえでも貴重きちょうな発見はっけんだ。新種しんしゅのオランウータンの社会しゃかいや行動こうどうを調しらべることで、いろいろな特徴とくちょうが明あきらかになると期待きたいしている」と話はなしています。

絶滅ぜつめつの危機ききにひんする類人猿るいじんえん

ヒトに近ちかい大型おおがたの霊長れいちょう類るい「類人猿るいじんえん」は、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータンからなり、今回こんかい、新種しんしゅのオランウータンが発見はっけんされたことで、類人猿るいじんえんは７なな種類しゅるいとなりました。

類人猿るいじんえんは、高たかい知能ちのうを持もち、社会しゃかい的てきな生活せいかつを営いとなむことから、私わたしたちヒトに最もっとも近ちかい生き物いきもので、ヒトの進化しんかを探さぐるうえでも貴重きちょうな存在そんざいです。

しかし、野生やせいの類人猿るいじんえんはいま絶滅ぜつめつの危機ききにひんしています。
世界せかいの野生やせい生物せいぶつの専門せんもん家かなどでつくるＩＵＣＮ＝国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごうは絶滅ぜつめつのおそれがある野生やせい生物せいぶつのリスト「レッドリスト」を公表こうひょうしていますが、これまで確認かくにんされている６ろく種類しゅるいの類人猿るいじんえんすべてが、「絶滅ぜつめつのおそれが極きわめて高たかい」、または「絶滅ぜつめつのおそれがある」と評価ひょうかされています。

中なかでもアフリカのコンゴやウガンダなどに生息せいそくするヒガシゴリラは、環境かんきょう破壊はかいや密猟みつりょうなどで過去かこ２に０ぜろ年ねんで７なな割わり以上いじょう、個体こたい数すうが減少げんしょうし、去年きょねん９月くがつに「絶滅ぜつめつのおそれがある」から、「絶滅ぜつめつのおそれが極きわめて高たかい」と評価ひょうかが変かわりました。

山やま極ごく学長がくちょうによりますと、類人猿るいじんえんはヒトよりも子こどもを産うむ数かずが少すくなく、いったん数かずが減少げんしょうすると回復かいふくするまでに長ながい時間じかんがかかるということです。また、サルに比くらべて胃腸いちょうが強つよくないために食たべるものも限かぎられ、環境かんきょうの変化へんかに弱よわいといいます。

開発かいはつによる生息せいそく地ちの破壊はかい、戦争せんそう、食用しょくよう目当めあての密猟みつりょうなど人間にんげんの活動かつどうによって野生やせいの類人猿るいじんえんは絶滅ぜつめつの危機ききにひんしているのです。山やま極ごく学長がくちょうは「いま世界中せかいじゅうで多おおくの類人猿るいじんえんは危機きき的てきな状況じょうきょうにある。私わたしたちが知しらないうちに消きえていってしまう危険きけん性せいを、多おおくの人ひとに知しってほしい」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース