米べい 債務さいむ上限じょうげん問題もんだい 共和党きょうわとう案あんにバイデン大統領だいとうりょう「受け入うけいれがたい」

アメリカの債務さいむ上限じょうげん問題もんだいをめぐる交渉こうしょうが難航なんこうしています。

バイデン大統領だいとうりょうはG7広島ひろしまサミットの閉幕へいまく後ご、記者きしゃ会見かいけんし、野党やとう・共和党きょうわとうの提案ていあんは「率直そっちょくに言いって受け入うけいれがたい」と述のべ、意見いけんの食い違くいちがいが依然いぜんとして大おおきいことを明あきらかにしました。

バイデン大統領だいとうりょうは21日にち、G7広島ひろしまサミットが閉幕へいまくしたあとの記者きしゃ会見かいけんで債務さいむ上限じょうげん問題もんだいについて冒頭ぼうとうで発言はつげんしました。

このなかで、▽これまでの3兆ちょうドル近ちかい財政ざいせい赤字あかじの削減さくげんに加くわえて新あらたに1兆ちょうドル以上いじょうの支出ししゅつ削減さくげん案あんを提案ていあんしたにもかかわらず、▽共和党きょうわとう側がわは富裕ふゆう層そうなどを守まもりながら、100万まん人にん近ちかい人ひとたちへの食料しょくりょう支援しえんを危険きけんにさらすような提案ていあんをしていると述のべました。

アメリカのメディアは共和党きょうわとうが低てい所得しょとく者しゃ向むけの医療いりょう保険ほけん制度せいどや食料しょくりょう支援しえんの条件じょうけんを厳格げんかくにすべきだと提案ていあんしていると伝つたえています。

バイデン大統領だいとうりょうは「今いまこそ共和党きょうわとう側がわが過激かげきな主張しゅちょうから歩み寄あゆみよる時ときだ。彼かれらが提案ていあんしてきたことの大だい部分ぶぶんは率直そっちょくに言いって、受け入うけいれがたい」と述のべました。

一方いっぽうで「議会ぎかいの指導しどう者しゃ全員ぜんいんが債務さいむ不ふ履行りこう＝デフォルトはありえないという認識にんしきで一致いっちしている。アメリカはこれまで債務さいむ不ふ履行りこうに陥おちいったことはないし、これからも陥おちいることはない」とも述のべました。

アメリカの複数ふくすうのメディアはバイデン大統領だいとうりょうがワシントンに戻もどる機内きないから共和党きょうわとうのマッカーシー下院かいん議長ぎちょうと電話でんわで協議きょうぎを行おこない、22日にち午後ごごに直接ちょくせつ会談かいだんすることになったと伝つたえています。

マッカーシー議長ぎちょう「バイデン大統領だいとうりょうが議論ぎろん変かえることを望のぞんだ」

議会ぎかい下院かいんのマッカーシー議長ぎちょうは21日にち、FOXテレビのインタビューで、債務さいむ上限じょうげんの引き上ひきあげについて「難むずかしいのは何なにも合意ごういしていないということだ。以前いぜんは財政ざいせい支出ししゅつの削減さくげんなどをめぐって、双方そうほうが合意ごういできる同おなじ場所ばしょにいて妥協だきょうできると感かんじていたが、バイデン大統領だいとうりょうが外国がいこくに行いっている間まに議論ぎろんを変かえることを望のぞんだのだ」と批判ひはんしました。

そのうえで妥協だきょう点てんを見みいだせれば債務さいむ上限じょうげんを引き上ひきあげることは可能かのうだという認識にんしきを示しめしました。

また議会ぎかい下院かいんの予算よさん委員いいん長ちょうを務つとめる共和党きょうわとうのジョディ・アリントン議員ぎいんは21日にち、ABCテレビのインタビューでバイデン大統領だいとうりょうの記者きしゃ会見かいけんでの発言はつげんについて「上限じょうげんを引き上ひきあげるための責任せきにんある交渉こうしょうに応おうじない言い訳いいわけをしているだけだ」と批判ひはんしバイデン大統領だいとうりょうに対にたいして交渉こうしょうへの姿勢しせいを改あらためるよう求もとめました。

これまでの経緯けいい

アメリカでは、財政ざいせい規律きりつを守まもるため政府せいふが国債こくさいなどを発行はっこうして、借金しゃっきんできる上限じょうげんが決きめられています。

その上限じょうげんを引き上ひきあげるには議会ぎかいの承認しょうにんが必要ひつようとなります。

ことし1月つき、政府せいふの借金しゃっきんが増ふえてその上限じょうげんに達たっしました。

イエレン財務ざいむ長官ちょうかんは臨時りんじの対応たいおうとして公務員こうむいんや障害しょうがい者しゃの年金ねんきん基金ききんの中なかで直ただちには必要ひつようのない資金しきんを使つかってやりくりする特別とくべつ措置そちを始はじめたと発表はっぴょうしました。

イエレン長官ちょうかんはこの特別とくべつ措置そちで確保かくほできる資金しきんが早はやければ6月つき1日にちに底そこをつく可能かのう性せいがあると指摘してき。

議会ぎかいに対にたいして繰り返くりかえし上限じょうげんの引き上ひきあげを求もとめてきました。

上限じょうげんが引き上ひきあげられなければ信頼しんらい性せいが高たかく、安全あんぜんな資産しさんとして世界中せかいじゅうで取り引とりひきされているアメリカ国債こくさいが史上しじょう初はじめて債務さいむ不ふ履行りこう＝デフォルトに陥おちいる可能かのう性せいがあります。

バイデン大統領だいとうりょうは今月こんげつ9日にち、16日にちと続つづけて野党やとう・共和党きょうわとうのマッカーシー下院かいん議長ぎちょうなど議会ぎかいの指導しどう部ぶと会談かいだんし、上限じょうげんの引き上ひきあげに向むけて協力きょうりょくを要請ようせいしましたが協議きょうぎはまとまりませんでした。

バイデン大統領だいとうりょうはG7広島ひろしまサミット後ごに予定よていしていたオーストラリアなどへの外国がいこく訪問ほうもんをキャンセルし、帰国きこくを早はやめて対応たいおうにあたることになりました。

バイデン大統領だいとうりょうが日本にっぽんを訪問ほうもんしている間まも担当たんとう者しゃレベルでの交渉こうしょうは続つづけられ、マッカーシー下院かいん議長ぎちょうは18日にち、「何なにも合意ごういはしていないが、合意ごういできるかもしれない。道筋みちすじは見みえてきた」と述のべて、話し合はなしあいが前向まえむきに進すすんでいることを示唆しさしました。

しかし、19日にちになって事態じたいは一転いってんします。

交渉こうしょうを担当たんとうする共和党きょうわとうの議員ぎいんが「交渉こうしょうが生産せいさん的てきではない」と述のべて協議きょうぎが一時いちじ、中断ちゅうだんしました。

これについてホワイトハウスのジャンピエール報道ほうどう官かんは、20日にち午前ごぜん、広島ひろしまで行おこなった記者きしゃ会見かいけんで「双方そうほうのあいだに深刻しんこくな開ひらきがあることは間違まちがいない」と認みとめ「共和党きょうわとう側がわはアメリカ経済けいざいを人質ひとじちにしてはならない。経済けいざい不況ふきょうを引き起ひきおこし、何なん百ひゃく万まん人にんもの雇用こようが失うしなわれるおそれがある」と述のべてけん制けんせいしました。

またマッカーシー下院かいん議長ぎちょうは20日にち、「不幸ふこうなことだがホワイトハウスは交渉こうしょうをひっくり返ひっくりかえしている。共和党きょうわとうはG7広島ひろしまサミットからバイデン大統領だいとうりょうが戻もどってからでないと交渉こうしょうには応おうじられない」と述のべたと、アメリカの経済けいざいチャンネルCNBCは伝つたえています。

バイデン政権せいけんと野党やとう・共和党きょうわとうとの交渉こうしょうが再ふたたび暗礁あんしょうに乗り上のりあげています。

イエレン財務ざいむ長官ちょうかん「期限きげんは今いまも6月つき1日にち」

アメリカのイエレン財務ざいむ長官ちょうかんは21日にちNBCテレビのインタビューで「早はやければ来月らいげつ1日にちに政府せいふが債務さいむを支払しはらえなくなるという私わたしの見方みかたは変かわっていない。債務さいむ上限じょうげんが引き上ひきあげられなければ厳きびしい選択せんたくを迫せまられることになるだろう」と述のべました。

また新あらたな税収ぜいしゅうが見込みこめる6月つき15日にちまでもたせることはできないのかと問とわれたのに対にたいし、「その可能かのう性せいは極きわめて低ひくい」と述のべて、厳きびしい認識にんしきを重かさねて示しめしました。

ソース：NHK ニュース