Hiện Furigana
東北沖「被害もたらす大地震リスクは減っていない」専門家
2020-03-11 08:03:15

東北沖の海底では9年前の巨大地震の影響とみられる地盤の変動が続き、地震の切迫度が増していると指摘されていて、専門家は「被害をもたらす大地震のリスクは決して減っておらず、改めて備えを点検してほしい」と話しています。

東北大学の日野亮太教授の研究グループは巨大地震の翌年の平成24年から東北沖の海底に合わせて20のGPS装置を設置して、地盤の動きを観測しています。
詳しい解析が終わった平成28年9月までのデータによりますと、
▽岩手県北部から青森県にかけての沖合と、
▽福島県の沖合では、海底の地盤が最大で年間8センチほど「東」へ動いている一方で、
▽9年前の巨大地震の震源に近い宮城県の沖合では最大で年間16センチほど「西」へ動いていることがわかりました。
日野教授は陸側と海側のプレートの境界が、
▽岩手県の沿岸部の地下にあたる場所や、
▽福島県の沖合の日本海溝に近い場所で、ゆっくりずれ、動き続けているとみています。
こうした場所は大きな地震は起こりにくい一方、隣接する領域に強い力を及ぼすため、
▽青森県東方沖と岩手県沖北部を震源とする地震や、
▽宮城県沖の比較的陸地に近い場所で繰り返し発生してきた「宮城県沖地震」の切迫度が増している可能性があると指摘しています。
このほか日本海溝の東側では巨大地震のあと海側のプレートにひっぱる力が加わり、昭和8年の「昭和三陸地震」のような、「アウターライズ地震」と呼ばれる大きな津波を伴う地震が起きやすい状態も続いているとしています。
日野教授は「東北沖の地盤の変動を見るかぎり、巨大地震の影響は今も続き、大地震を起こりやすくする方向に働いていて、被害をもたらす大地震のリスクは決して減っていない。改めて備えを点検してほしい」と話しています。
▽岩手県北部から青森県にかけての沖合と、
▽福島県の沖合では、海底の地盤が最大で年間8センチほど「東」へ動いている一方で、
▽9年前の巨大地震の震源に近い宮城県の沖合では最大で年間16センチほど「西」へ動いていることがわかりました。
日野教授は陸側と海側のプレートの境界が、
▽岩手県の沿岸部の地下にあたる場所や、
▽福島県の沖合の日本海溝に近い場所で、ゆっくりずれ、動き続けているとみています。
こうした場所は大きな地震は起こりにくい一方、隣接する領域に強い力を及ぼすため、
▽青森県東方沖と岩手県沖北部を震源とする地震や、
▽宮城県沖の比較的陸地に近い場所で繰り返し発生してきた「宮城県沖地震」の切迫度が増している可能性があると指摘しています。
このほか日本海溝の東側では巨大地震のあと海側のプレートにひっぱる力が加わり、昭和8年の「昭和三陸地震」のような、「アウターライズ地震」と呼ばれる大きな津波を伴う地震が起きやすい状態も続いているとしています。
日野教授は「東北沖の地盤の変動を見るかぎり、巨大地震の影響は今も続き、大地震を起こりやすくする方向に働いていて、被害をもたらす大地震のリスクは決して減っていない。改めて備えを点検してほしい」と話しています。
特に注目する3つの地震
東北沖の日本海溝沿いでは今後30年以内にマグニチュード7クラスの大地震が最大90%程度以上の確率で発生するとされています。
海底の地盤の変動について観測を続けている東北大学の日野亮太教授は、中でも3つの領域で起きる地震に注目しています。
(1)青森県東方沖と岩手県沖北部を震源とする地震
1つ目は、青森県東方沖と岩手県沖北部で起きる地震です。この領域では過去に100年前後の間隔で、マグニチュード8前後の地震が繰り返し発生しています。
最近では昭和43年にマグニチュード7.9の「十勝沖地震」が発生し、北海道や東北に数メートルの津波が押し寄せたほか、強い揺れで土砂崩れが発生するなどして、50人以上が死亡しました。
また平成6年の「三陸はるか沖地震」など、マグニチュード7から7.5クラスの地震も頻繁に起きています。
日野教授によりますと青森県東方沖と岩手県沖北部のプレート境界は9年前の巨大地震では動いていない一方、隣り合う岩手県の沿岸部の地下では巨大地震のあとプレート境界がゆっくりずれ動き続けています。
このため強く引っ張られる力が加わり、地震の切迫度が増している可能性があると指摘しています。
政府の地震調査委員会も青森県東方沖と岩手県沖北部の領域で今後30年以内に
▽マグニチュード7.9程度の地震が起きる確率を5%から30%、
▽マグニチュード7から7.5程度の地震の確率は90%程度以上と評価したうえで、巨大地震の影響で震災前よりも地震が発生しやすくなったと考えられ、発生確率はより高い可能性があるとしています。
(2)宮城県沖地震
2つ目は、宮城県沖の陸地に近い場所を震源とする「宮城県沖地震」です。
およそ40年間隔で、マグニチュード7.4前後の地震が繰り返し発生しています。
最近では昭和53年にマグニチュード7.4の地震が発生し、宮城県を中心に強い揺れに襲われブロック塀の倒壊による被害が相次ぎ、28人が死亡しました。
日野教授によりますと、宮城県沖の陸地に近い地域のプレート境界は9年前の巨大地震でずれ動きいったんひずみを解消したとみられるということですが、観測データからは再び、ひずみをためている可能性が高いということです。
地震調査委員会は今後30年以内にマグニチュード7.4前後の地震が起きる確率を「50%程度」と評価したうえで、「巨大地震の影響で震災前よりも地震が発生しやすくなったと考えられる」として、発生確率はより高い可能性があるとしています。
また日本海溝付近にかけての沖合を含む宮城県沖全体の領域では今後30年以内に
▽マグニチュード7.9程度の地震が起きる確率が「20%程度」、
▽ひとまわり小さいマグニチュード7から7.5程度の地震の確率は「90%程度」としています。
日野教授は「宮城県沖で起きる地震は、震源が陸地に近い場合には特に強い揺れとなるおそれがあり警戒が必要だ。耐震化や家具の固定などを見直してほしい」と指摘しています。
(3)アウターライズ地震
3つ目は日本海溝の東、海溝軸の外側で発生する「アウターライズ地震」です。プレート境界で大きな地震が発生したあと、沈み込む海側のプレートに引っ張る力がはたらくことで起きると考えられています。
明治29年にプレート境界で起きた「明治三陸地震」から38年後の昭和8年にアウターライズ地震の「昭和三陸地震」が発生し、東北や北海道の沿岸に津波が押し寄せ、死者・行方不明者が3000人を超えました。
研究グループの観測では海溝の外側の地盤はこれまでよりも速いスピードで動いていて、9年前の巨大地震の影響で大きな力がかかっているとみられるということです。
海底の地盤の変動について観測を続けている東北大学の日野亮太教授は、中でも3つの領域で起きる地震に注目しています。
(1)青森県東方沖と岩手県沖北部を震源とする地震
1つ目は、青森県東方沖と岩手県沖北部で起きる地震です。この領域では過去に100年前後の間隔で、マグニチュード8前後の地震が繰り返し発生しています。
最近では昭和43年にマグニチュード7.9の「十勝沖地震」が発生し、北海道や東北に数メートルの津波が押し寄せたほか、強い揺れで土砂崩れが発生するなどして、50人以上が死亡しました。
また平成6年の「三陸はるか沖地震」など、マグニチュード7から7.5クラスの地震も頻繁に起きています。
日野教授によりますと青森県東方沖と岩手県沖北部のプレート境界は9年前の巨大地震では動いていない一方、隣り合う岩手県の沿岸部の地下では巨大地震のあとプレート境界がゆっくりずれ動き続けています。
このため強く引っ張られる力が加わり、地震の切迫度が増している可能性があると指摘しています。
政府の地震調査委員会も青森県東方沖と岩手県沖北部の領域で今後30年以内に
▽マグニチュード7.9程度の地震が起きる確率を5%から30%、
▽マグニチュード7から7.5程度の地震の確率は90%程度以上と評価したうえで、巨大地震の影響で震災前よりも地震が発生しやすくなったと考えられ、発生確率はより高い可能性があるとしています。
(2)宮城県沖地震
2つ目は、宮城県沖の陸地に近い場所を震源とする「宮城県沖地震」です。
およそ40年間隔で、マグニチュード7.4前後の地震が繰り返し発生しています。
最近では昭和53年にマグニチュード7.4の地震が発生し、宮城県を中心に強い揺れに襲われブロック塀の倒壊による被害が相次ぎ、28人が死亡しました。
日野教授によりますと、宮城県沖の陸地に近い地域のプレート境界は9年前の巨大地震でずれ動きいったんひずみを解消したとみられるということですが、観測データからは再び、ひずみをためている可能性が高いということです。
地震調査委員会は今後30年以内にマグニチュード7.4前後の地震が起きる確率を「50%程度」と評価したうえで、「巨大地震の影響で震災前よりも地震が発生しやすくなったと考えられる」として、発生確率はより高い可能性があるとしています。
また日本海溝付近にかけての沖合を含む宮城県沖全体の領域では今後30年以内に
▽マグニチュード7.9程度の地震が起きる確率が「20%程度」、
▽ひとまわり小さいマグニチュード7から7.5程度の地震の確率は「90%程度」としています。
日野教授は「宮城県沖で起きる地震は、震源が陸地に近い場合には特に強い揺れとなるおそれがあり警戒が必要だ。耐震化や家具の固定などを見直してほしい」と指摘しています。
(3)アウターライズ地震
3つ目は日本海溝の東、海溝軸の外側で発生する「アウターライズ地震」です。プレート境界で大きな地震が発生したあと、沈み込む海側のプレートに引っ張る力がはたらくことで起きると考えられています。
明治29年にプレート境界で起きた「明治三陸地震」から38年後の昭和8年にアウターライズ地震の「昭和三陸地震」が発生し、東北や北海道の沿岸に津波が押し寄せ、死者・行方不明者が3000人を超えました。
研究グループの観測では海溝の外側の地盤はこれまでよりも速いスピードで動いていて、9年前の巨大地震の影響で大きな力がかかっているとみられるということです。

日野教授は「アウターライズ地震はどこで、いつ起きるのか、よくわからない点が多いが、地殻変動を見るかぎり、リスクが低下しているようには見えない。強い揺れを伴わずに津波が来るケースもあり警戒が必要だ」と指摘しています。
ソース:NHK ニュース