【随時更新】イスラエル パレスチナ 双方の死者 4800人超に
2023-10-18 23:44:19

パレスチナのガザ地区をめぐる情勢です。
※19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
《イスラエル・パレスチナの動き》
双方の死者は4800人超に
今月7日以降の一連の衝突でイスラエル側では少なくとも1400人が死亡した一方、ガザ地区では少なくとも3400人が死亡し、双方の死者は4800人を超えています。
ガザ地区では18日もイスラエル軍による激しい空爆が続き、さらにガザ地区の保健当局は、地区内で子ども600人を含む1300人ががれきに閉じ込められて行方不明になっているとしています。
また、ガザ地区北部の病院で17日に起きた爆発についてガザ地区の保健当局はこれまでに471人の死亡が確認されたとしています。
これについてハマス側はイスラエル軍の攻撃による被害だと主張していますが、イスラエル側はガザ地区にいるハマスとは別の武装組織が発射したロケット弾が落下したものだと主張し、互いを非難し合っています。
ハマス イスラエル側の主張に反論 「病院攻撃は戦争犯罪」
多くの犠牲者を出したガザ地区の病院の爆発をめぐり、ハマス側はイスラエル軍の攻撃による被害だと主張していますが、イスラエル側は上空からの映像やレーダーシステムの記録などを分析した結果、ガザ地区にいるハマスとは別の武装組織「イスラム聖戦」が発射したロケット弾が落下したものだと主張しています。
これに対してハマスは18日、イスラエル側の主張に反論する新たな声明を出しました。
この中でハマスは
▽イスラエル軍が攻撃を行う前の警告として病院に向けて砲弾を放ち、あらかじめ避難するよう求めていたこと
▽爆発の瞬間を記録した映像から、炎と爆発音の特徴がこれまでに行われたイスラエルの攻撃によるものと一致するなどとして、イスラエルが意図的に病院を攻撃したと改めて主張しています。
ハマスは声明で「占領軍は病院への攻撃という犯罪の責任から逃れようとしている。病院への意図的な攻撃はICC=国際刑事裁判所の規程で定められている戦争犯罪だ。このような行為は、世界の良心に衝撃を与える」としてICCに対して、戦争犯罪としての調査を開始するよう求めると主張しています。
一連の衝突で19人のジャーナリストが死亡
イスラム組織ハマスとイスラエル軍との一連の衝突では今月7日以降、これまでに少なくとも19人のジャーナリストが死亡しています。これはニューヨークに本部があり、報道の自由を守る活動をしている国際的なNPO「CPJ=ジャーナリスト保護委員会」が18日、発表しました。
それによりますと19人のうち15人がパレスチナ人、3人がイスラエル人、1人がレバノン人で、ガザ地区の地元メディアのジャーナリストや、レバノン南部の国境付近で取材中だったロイター通信のカメラマンなどが含まれるということです。また、8人のジャーナリストが負傷し、3人が行方不明、または拘束されたという報告を受けているということです。
CPJはこのほかにもジャーナリストの被害について多くの情報があり、調査を進めているとして「ジャーナリストは危機の時に重要な仕事をしている民間人であり、標的になるようなことはあってはならない。この悲痛な紛争を取材するために大きな犠牲を払っていて、すべての当事者は彼らの安全を確保するための措置を講じる必要がある」と訴えています。
イスラエル ガザ地区に支援物資 条件付きで認める声明
イスラエル政府は18日、ネタニヤフ首相とアメリカのバイデン大統領との会談を受けて、ガザ地区に隣国エジプトから人道支援物資が入ることを条件付きで認めるとする声明を発表しました。
声明では「ガザ地区南部にいる民間人のために、食料と水、それに医薬品に限りエジプトから運び込むことを妨害しない」としたうえで、ハマスの手に物資が渡ることは阻止するとしています。
また、バイデン大統領は帰国途中の機内で記者団に対し、エジプトのシシ大統領が電話会談の中で、ガザ地区との境界にある検問所から人道支援のためにトラック20台を通過させることで合意したと明らかにしました。
ガザ地区ではイスラエル軍による空爆が続き、これまでにおよそ100万人の住民が家を追われていて、人道状況が悪化しています。
イスラエルとエジプトが合意したとされるなか、エジプトからガザ地区への物資の搬入が滞りなく進み、住民のもとに届けられるかが焦点です。
《各国の反応》
国連安保理 人道支援の戦闘一時停止など 米の拒否権で否決
イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突をめぐり、国連安全保障理事会では人道支援のための戦闘の一時的な停止などを求める決議案の採決が行われ、15か国のうち日本を含む12か国が賛成しましたが、アメリカが拒否権を行使して否決されました。
アメリカは、イスラエルの自衛権に言及がないなどと主張しましたが、各国からは遺憾の意が表明されました。
イスラエルとハマスの衝突をめぐっては、国連安保理に議長国のブラジルが▽ハマスによる攻撃や誘拐を非難し人質の解放を求める一方で
▽人道支援のための戦闘の一時的な停止や
▽イスラエルがガザ地区北部の住民に出した退避通告を撤回するよう求める決議案を、提出していました。
採決は18日午前、日本時間の18日夜行われ、理事国15か国のうち
▽日本やフランスなど12か国が賛成し
▽ロシアとイギリスが棄権しましたが
▽常任理事国のアメリカが拒否権を行使し、決議案は否決されました。
アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「決議案にはイスラエルの自衛権が言及されておらず失望している」と述べた上で、バイデン大統領によるイスラエル訪問などの外交努力の成果を待つべきだと主張しました。
これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「われわれはアメリカの偽善とダブルスタンダードを目の当たりにした。アメリカは解決策を見つけることを望んでいなかった」と述べ、アメリカを強く非難しました。
このほか各国からも、決議案が否決されたことに相次いで遺憾の意が表明されました。安保理でアメリカが拒否権を行使したのはおよそ3年ぶりで、アメリカのイスラエルを擁護する姿勢が改めて浮き彫りになりました。
国連安保理 ガザ地区で起きた病院爆発も協議
国連安保理では、決議案の採決に続いて、ガザ地区の病院で起きた爆発をめぐって、対応を協議する緊急会合が開かれました。
各国からは、病院への攻撃を非難するとともに、客観的な調査を求める意見が相次ぎ、このうち日本の石兼国連大使は「罪のない人たちが犠牲になったことに強い憤りを感じる。いかなる理由でも病院や市民に対する攻撃は正当化できない」と非難した上で、ガザ地区に人道支援物資を届けなければならないと訴えました。
一方、ロシアのネベンジャ国連大使は「アメリカは人道的で道義的な義務である決断ができなかった」と述べたほか、中国の張軍国連大使は「差し迫った人道危機を前に、安保理が沈黙する理由も決定を遅らせる口実もない」と述べ、戦闘の一時的な停止などを求める決議案に拒否権を行使したアメリカを非難しました。
これに対してアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「アメリカは一般市民の死傷者を最小限に抑えるため、イスラエルや地域の国々、そして国連などと引き続き協力していく」と強調しました。
岸田首相 サウジアラビア皇太子と電話会談 テロへの憤り伝える
イスラエル・パレスチナ情勢をめぐり、岸田総理大臣は18日夜、サウジアラビアのムハンマド皇太子と電話で会談し、ガザ地区の病院への攻撃に対する強い憤りを伝え、人道状況の改善や事態の沈静化に向けて協力していくことを確認しました。
この中で岸田総理大臣は、イスラエル・パレスチナ情勢への深刻な懸念とともに、ハマスなどのパレスチナ武装勢力による「テロ攻撃」を断固として非難する日本の立場を示しました。
そして、多くの犠牲者が出たガザ地区の病院への攻撃に対する強い憤りを伝えるとともに、日本としてガザ地区の市民に総額1000万ドル規模の緊急人道支援を実施する方針を示し、連携を呼びかけました。
これに対しムハンマド皇太子からは、現地情勢への深刻な懸念を共有する立場が示され、両者はガザ地区の人道状況の改善や事態の沈静化に向けて協力していくことを確認しました。
また岸田総理大臣は、ヨルダンのアブドラ国王やカタールのタミム首長、UAE=アラブ首長国連邦のムハンマド大統領とも相次いで電話で会談し、同様に協力を申し合わせました。
このうちヨルダンのアブドラ国王との会談では、岸田総理大臣がイスラエルからの日本人の出国支援をめぐり、ヨルダンが自衛隊機の派遣を受け入れたことに深い感謝の意を伝えたのに対し、アブドラ国王は引き続き協力する考えを示しました。
イラン大統領「アメリカはイスラエルの共犯者」
ガザ地区の病院での爆発を受け、イランでは18日、首都テヘラン中心部の広場に大勢の市民が集まってイスラエルに抗議するとともに、ライシ大統領が演説しました。
この中で、ライシ大統領は爆発についてイスラエルによる攻撃だと改めて主張し「誰がこんな恐ろしい犯罪を受け入れられるだろうか」と強く非難しました。その上で各国に対し「イスラエルとの関係を断ち、その大使を追放するとともに大使館を閉鎖することを期待する」と述べ、国交のある国にイスラエルと断交するよう呼びかけました。さらに、イスラエルへの連帯を示し、軍事支援を行うアメリカに対しては「世界の人々があなたたちをイスラエルの共犯者だとみなしており、その憎しみを目の当たりにするだろう」と警告しました。
イスラム協力機構「残忍な軍事侵攻」 イスラエル非難
イスラム圏の国や地域でつくるOIC=イスラム協力機構は、本部のあるサウジアラビア西部のジッダで18日、緊急の外相級会合を開き、ガザ地区の情勢などについて意見を交わしたあと、共同声明を出しました。
OICには中東やアフリカ、それにアジアなどのイスラム圏の57の国や地域が加盟していて、声明ではハマスの大規模な攻撃に対するイスラエルの報復作戦を「残忍な軍事侵攻」と位置づけて強く非難した上で、直ちに中止するよう求めています。
また、ガザ地区の病院での爆発についても「あからさまにイスラエル軍が狙ったもので、国際人道法に違反する戦争犯罪であり、強く非難する」とした上で、国際社会に対し、イスラエルに責任を取らせるよう呼びかけています。
さらに国連の安全保障理事会について「イスラエルの戦争犯罪をとめるための決断をし責任を果たす能力がなく、失敗している」として、遺憾の意を表しています。
一方で、ハマスについては言及していません。
一連の衝突が始まった当初は、OICの加盟国の中でも、イスラエルとハマスの双方に自制を求める国が多くありましたが、多くの犠牲者を出したガザ地区の病院の爆発を受けてイスラム圏で反イスラエル感情が高まる中、イスラエルを非難する形でまとまったものとみられます。