※一※ (名)
〔形のある物体を初めとして, 広く人間が知覚し思考し得る対象の一切を意味する。

こと(事)

が時間的に生起・消滅する現象を表すのに対して,

もの

はその現象を担う不変な実体を想定して用いる語である〕
※一※

物体。 物品。

特に, 経済的な価値をもった物品。 また, その品質。

対象を具体的に表現せず, 漠然という語。 何らかの対象。

~を言う


~を思う

「~も食べない」「~のはずみ」「~の役に立たない」

対象を特定化せず, 一般的・包括的にいう語。 すべての対象。

物事の筋道。 道理。

~が分かっている人


鬼や悪霊など, 正体のとらえにくい対象を畏怖していう語。

取り上げる価値のある対象。 ひとかどの存在。

思考の対象として取り上げる事物をさす語。 物事。

一度名前を言ったあとで再びそれをさす時に, 名前の代わりに用いる語。 それ。

あの映画は一度見た~だ

※二※

〔哲〕
〔英 thing; (ドイツ) Ding〕
(ア)感知し得るさまざまな属性の統一的担い手としてのまとまりをもった空間的・時間的対象。 狭義には, このもの・あのものと指し示し得る

机


家

など外界に存在する感覚的個物をいうが, 広義には思考の対象となり, 命題の主語となり得るすべて, 例えば心や価値などの非感覚的存在をも含めていう。 (イ)人格としては関係しない対象を「ひと」に対して「もの」という。

〔法〕 権利の客体とされる, 排他的支配が可能な外界の一部をいい, 有体物と無体物とに分けられる。 民法上

物

は有体物に限られる。
※三※種々の語の下に付いて複合語をつくる。

その分野・種類に入る品物や作品であることを表す。

そういう事態を引き起こすような事柄であることを表す。

動詞の連用形に付いて, そのような動作の結果できた物品, そのような動作の対象となる物品であることを表す。
※四※(形式名詞)

(

…ものだ(である)

などの形で)(ア)普遍的な傾向。

どんな人もお世辞には弱い~だ


人間はとかく過去を美化したがる~らしい

(イ)なすべきこと。 「そんな時は何も聞かずにいてあげる~だ」(ウ)過去にしばしば起こったこと。 「二人でよく遊んだ~だ」

あの難関をよくくぐり抜けた~だ


故郷とはいい~だ

「あの男にも困った~だ」

(

…ものか


…ものではない

などの形で)否定を強調する。

そんなことがある~か


誰が言う~ですか

「何をするかわかった~ではない」

甲はその責任を負う~とする(契約書ナドノ文言)

※二※ (接頭)
形容詞・形容動詞・動詞に付いて, 何とはなしに, また, どことなくそのような状態である, の意を表す。
~があ・る
強い断定を表す。
~が無・い

命がないという意を暗にいう語。

此中の事一言いうても~・いぞ/浄瑠璃・博多小女郎(上)


風情がない。 つまらない。

今別れちやあ~・い/歌舞伎・吾嬬鑑

~が分か・る
物事の道理や人情の機微がよくわかっている。

~・った人

~ともせず
障害を無視して立ち向かうさま。

負傷を~出場する

~ならず
たいした事ではない。 問題ではない。

函谷関も~

~にする

習得する。

自分のものにする。 手に入れる。

社内一の美人を~する


世の中に通ずるものに仕上げる。

今度のテーマは何とか~してみせる

~にな・る

ひとかどの人物になる。

きたえれば~・りそうな男だ


意図したように事がはこぶ。 成就する。

とうとう英会話は~・らなかった

~に似ず
他にくらべるものがなく。 たとえようがなく。

悲しきこと~, よよとぞ泣きける/大和 148

~の上手(ジヨウズ)
ある技芸に秀でている人。

何事にも世に難き~におはして/源氏(若菜上)

~の序(ツイ)で
事のついで。
~の弾(ハズ)み
ちょっとしたその場のいきがかり。 ことの勢い。

~でつまらぬことを言った

~の見事に
まことにあざやかに。 実に見事に。

巨漢を~投げとばす

~は言いよう
同じことでも, 言い方によって相手の受け取り方が違う。 話し方が悪いと, まとまるべき話もまとまらない場合などにいう。
~は考えよう
同じことでも, 考え方によって良くも悪くも解釈できるものだ。
~は相談

何事も相談してみればよい結果が得られるかもしれないから, まず相談をかけてみるものだ。 物は談合。

他人への相談を切りだす時に用いる語。 物は談合。

~だが, 無理を聞いてくれないか

~は試(タメ)し
何事も実際にやってみなければ, 成否はわからないのだから, とにかく試みてみるのがよい。
~は使いよう
物は使い方次第で, 役に立ったり, そのよさが失われたりするものだ。
~も言いようで角(カド)が立つ
言葉次第で, さほどでもないことが不快に聞こえて, 人の感情をそこなう。

丸い卵も切りようで四角, ~

~も覚えず

どうしてよいかわからない。 無我夢中である。 上の空である。

右近は~ず君につと添ひたてまつりて/源氏(夕顔)


物事の道理がわからない。

~ぬ官人共が申様かな/平家 4

~を言・う

言葉を発する。 話す。

効力を存分に発揮する。
~を言わせる
効力を存分に発揮させる。