※一※ (動ラ五[四])
❶

自分よりも上位の人や神仏に物を差し出すことを, その動作の受け手を敬っていう語。 差し上げる。 献上する。

上奏文を~・る


うわべだけ敬って高い地位の者として扱う。 まつり上げる。

会長として~・っておけばいい

❷

貴人のもとへ, 手紙や, 紙に書いた歌などを差し出すことを, 受け手を敬っていう。 差し上げる。

文をこそは~・らめ/源氏(夕霧)


貴人のもとへ人を差し向けることを, 受け手を敬っていう。 つかわし申し上げる。

『いかにいかに』と人(=使者ヲ)~・り給へど/源氏(椎本)


貴人が飲食することを敬っていう。 めしあがる。

もも長に寝(イ)をし寝(ナ)せ豊御酒(トヨミキ)~・らせ/古事記(上)


〔

乗せる


着せる

など, 貴人にその動作の及ぶ動詞に「奉る」が付いて, さらに上の動詞が略された言い方〕
お乗せする。 お着せする。 …し申し上げる。

夜の明け離れぬさきに御舟に~・れ/源氏(明石)


阿闍梨三人さぶらひて法服など~・るほど/源氏(若菜上)

「とりどりに~・る(=演奏シ申シ上ゲル)中に, 和琴はかのおとどの…御琴なり/源氏(若菜上)」

〔

からさらに転じた用法か〕
❸(補助動詞)

他の動詞またはそれに使役や受け身の助動詞の付いたものに付いて, その動作の対象を敬う謙譲表現を作る。 …し申し上げる。 …して差し上げる。

動詞

率(イ)る

に助詞

て

を介して付き, 「お連れ申し上げる」の意を表す。

人知れず心づかひして, いみじく忍びてゐて~・る/源氏(総角)

〔複合動詞では, その間に入れて用いられることがある。

今の世の御事どもに見~・りくらぶるに/枕草子278

〕
‖可能‖ たてまつれる
※二※ (動ラ下二)(補助動詞)
他の動詞に付いて, その動作の対象を敬う謙譲表現を作る。 …し申し上げる。 未然形・連用形の例しかない。

浅茅付けたりしより始めて返し~・れ給ふ/宇津保(忠こそ)

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